2012-02-26

色飽和に気づかなくなるとき

 色飽和を知る方法



 写真とは、”階調のアートである”とも言われています。被写体の質感や立体感の状態が伝わらない写真というのは、写真ではありません。もし色の階調がなければ、どんなにフレーミングや構図が優れていても、ダメな作品になります。

 デジタル一眼カメラの設定やPhotoshopなどのレタッチソフトで、誰でもが簡単に彩度を上げたり下げたりすることがデジタル一眼カメラでは可能な時代です。銀塩カメラとフィルムの世界ではとても及びもつかない機能です。

 デジタル一眼カメラの設定では、特に自然を撮る方にはビビッドに設定している方も多いのではと思います。ノーマルやスタンダードでは、RAW現像しても、物足りないと感じる時にも、ビビッドに設定してRAW現像し直してみると、数段に優れた写真に生まれ変わる作品がありますよね。

 その彩度の濃さに見せられると、次第に彩度の高い色を好むように人間の眼も慣れてしまうんです、そこで、また物足りなくなって彩度を高めてしまう。他人と違う自分だけの個性を出そうとすると、より彩度の高い写真になっていく傾向がどうもあるようです。

色飽和までは行かなくとも、そのような傾向の写真には、よくお目に掛かります。でも良く自分の肉眼で自然のそのままの情景を、撮影する際に見返してみましょう。

私は、ファインダー越しに覗く世界だけではなく、シャッターを切る前や後でも、その場で自分の肉眼というカメラのシャッターも、同時に切るように心がけています。

ここで、特に酷い色飽和を知る簡単な方法を3つ紹介しておきたいと思います。
色飽和をphotoshopで知る方法です。

まず、Photoshopの情報パレットの表示を”HSB”に変更して、”S”の値を確認する方法です。その値が、100%か、もしくはそれに近い数値である時は色飽和の注意警報と思ってください。

次に、同じくPhotoshopのプリントダイアログで、”Photoshopによるカラー管理”を選び、”色域外警告”をチェックしてください。
Picture Style Editor
色飽和していると灰色に染まる部分が出てきます。これがプリントでは正しく再現されない色部分であるという意味です。


 最後に、Canonの Picture Style Editor を使う方法です。これは、ある程度までなら分かるというくらいに認識しておいてください。全体表示をするサムネイル画面と、画像編集後のヒストグラムを表示し、ハイライト、シャドウ警告表示の設定を行います。

 ハイライト、シャドウの警告は、RGB値もしくは輝度(Y)で指定でき、完全な白飛びや黒つぶれではなく、一歩手前の状態を観察することができます。
また、RGBに指定した場合、R、G、Bどれかのチャンネルが指定した数値を超えた場合に警告表示されますので、色飽和を検出する用途にも有効というものです。
 何もこのようなレタッチソフトに頼らなくてもいいように、如何に素のままの自然な色というのが美しいのか、よく”自然美”という言葉を聞くことがあると思いますが、普段から正に自然な色をよく自分の脳裏に記憶しておく努力が必要なのではないでしょうか。

 記憶した色を思い出すことを”記憶色”ともいいます。
これからは自分の肉眼というカメラで、是非、心のシャッターも切るようにしてみては如何でしょう。